階委員
おはようございます。民主党の階猛と申します。 省略
これは実は、私の家庭で実際に起きたことでございます。省略
それで、事例の方をちょっと御説明させていただきます。一枚の紙を見ていただきたいんですが、何が起きたかということでございます。
まず、私の息子は中一ですけれども、野球をやっておりまして、外で一日練習をしていると目が疲れるので、紫外線対策のため度つきではない眼鏡の購入を希望しました。
そこで、眼鏡屋さんに行ったところ、いきなり、視力、乱視の検査をやってくださいと言われまして、それで勧められるままにやりました。そうしたら、両目が〇・四でひどい乱視である、そういうような診断を言われたわけです。
ちなみに、そのときに、息子は自分は目がいいと思っていたものですから、そんなことはないです、教室の一番後ろの席から黒板の字が見えますと言ったそうなんですが、そこの店員は、お姉さんだったそうですけれども、それは目を細めているから見えるのよというふうに優しく言ったそうです。
そういうやりとりを踏まえて眼鏡の購入を店員が勧めてきたわけですけれども、その際に、この先、視力も乱視もよくならないので絶対に眼鏡は必要だ、そういうような言われ方をしましたものですから、家内の方も心配になって、当初は度つきの眼鏡など買うつもりはなかったものを買うことにしたということで、クレジットカードの翌月一括払いでお店の方で購入したというのがまずあったわけでございます。
ところが、自宅に帰って、うちの家内もいろいろ不審に思いました。本人も、実はこの眼鏡店で、自分も念のために視力をはかってみようとして検査をしたんだそうです。そうしたら、自分の方も目がいいと思っていたのに、非常に低い視力になっていて、不思議だなと思ったので、翌日改めて眼科医で検査をしました。
息子の検査をしたところ、やはり、実は視力も乱視も問題なくて、両目が一・二で乱視も軽微だ、眼鏡をつくったらかえって目が悪くなりますよ、そういうふうに眼科の先生に言われたそうです。
早速、けしからぬということでお店の方に連絡して、きのう買った眼鏡の契約は取り消してくれと言ったんだそうですが、眼鏡のお店の人は、そんなことはできません、法律上できませんということで、当初取り消しを断ったそうです。
ところが、うちの家内も、僕が国会議員であるとは言いませんが、弁護士なんだから、そういうことを言うと裁判ざたになりますよとか結構強気で出たところ、お店の方は、では、本来は取り消しはできないんだけれども、今回は特別に、お買い上げになったレンズが壊れたということにして合意解除にしましょう、そういうようなことにして合意解除にしたということでございます。
こういった事例を踏まえてなんですけれども、まずもって一番最初のところです。度つきでない眼鏡の購入を希望していたにもかかわらず、目的外の商品を勧めているという行為がまずお店の方であったわけでございます。省略
この眼鏡店は本当に真面目にやっていて
間違えているのかもしれない。
そうだとすると・・・レベルが低すぎるのである。
なぜなら・・・資格のない眼鏡屋には
誰でも明日からでも出来るのです。
○甘利国務大臣
省略 委員御指摘の事例でありますが、すなわち、視力が悪くなっていないのに、実は、検査をした瞬間悪くなっていますよと言って眼鏡を販売するようなことが訪問販売業者によって行われたケースが該当し得ると考えられます。こういう場合には、指示などの行政処分を行うことが可能となっております。
○階委員
次に、今回の問題は、視力、乱視の検査がいいかげんにされていたということで、こういった眼鏡購入、眼鏡を売らんかながためのいいかげんな視力検査ということについて、これは多分、視力の検査といった医療にかかわることですが、厚労省の御管轄になるのかなと思うんですが、厚労省ではどういう対応をしているのか。
例えば、眼鏡販売店での視力検査の方法であるとか、視力を検査する機械の性能であるとか、担当者の資質などについて何らかの基準を設けたり、そしてそれへの適合性を定期的に検査したり、あるいは基準に適合しない不適切な業者に指導、処分を行ったりといった行政の対応はされているのかどうか、そこをお聞かせ願えますか。
○中尾政府参考人
一般論としてお答えいたしますと、眼鏡を必要とする顧客が、自分の目に適当な眼鏡を選択する場合の補助として行う程度の危険性がほとんどない視力検査であれば、医師等の資格を持たない者でも行うことは可能でありますが、その範囲を超えた、例えば眼圧検査などの検査でありますとか疾病等の判断であれば、原則として医行為であり、医師等の資格を持たない者が業として行うことは法律により禁じられております。
厚生労働省といたしましては、無資格者による医療行為に対しては、国民の健康と安全を確保する観点から、関係機関と協力し、適切に対処してまいりたいと考えております。
○階委員
今のお話からすると、結局、今の眼鏡を売らんかながための検査なんというのは、厚労省は全く関係ないというような感じになると思います。
こういう悪徳的な商法の前提となるような検査については、これはやはり経産省がチェックするべきではないでしょうか、厚労省が何もできないと言っている以上。いかがでしょうか。
○甘利国務大臣
専門的な見地から、眼鏡をつくる場合にどういう検査が必要かということは、私どもの範疇というよりも若干所管が違うと思うんです。私どもの方では、事実に見合ったきちんとした対応をする。つまり、矯正が必要なのにいいかげんなものを、これで大丈夫ですと言って不良なものを販売したというのは私どもの方になると思うんです。
適正な視力を確保するためにどういう手続が必要かということは、私どもの所掌を若干超えているのかなという気もいたします。適正なものを適正な方法で販売するということに関しては、しっかりと対応していきたいと思っております。
○階委員
まさに縦割り行政だと思うんです。
そういったいろいろな官庁から消費者行政を所管する部署が集まって消費者庁をつくるやに、そういう構想があるやに聞いておるんですけれども、結局、そういうところが集まったところでこういう抜け穴はそのまま放置されてしまうんじゃないかなと思うんです。
○甘利国務大臣
どこが所掌するかわからない。省略 それをなくすということは消費者保護の点から極めて大事だと思っております。
そこで、消費者庁がどういう形になるかというのは、いまだ議論をしているさなかでありますが、それぞれ、原課を所管するところは、その製品に対する情報をきっちり把握して、製品あるいは販売方法に問題がないかということをしっかりチェックする。同時に、省を越えてあるいはまたいでのような事案に関して、全体的に、消費者保護の情報をトータルとして把握するということも大事だというふうに思っております。
省庁間のはざまに落ちてしまうような問題について、そういう消費者庁構想で、省をまたいでかかわってくる問題について、しっかりと情報を把握して所管官庁に対応する、あるいは、所管がないと思われるようなものについてはそれを明らかにしていくという意味で、貢献できる仕組みであってほしいと思っております。
○階委員
次に、今回、うちの家内は、このままでは視力も乱視もよくならないというふうに言われて購入していたわけですけれども、実際のところ、それは虚偽であった。ただ、物自体、眼鏡自体に問題があったわけではなくて、眼鏡を購入する動機、そこが虚偽であった。
講学上、動機の錯誤と言われるケースでございますけれども、動機の錯誤については、私が調べたところ、消費者契約法には取り消し事由とはなっていなくて、特商法の方で取り消し事由になっているというふうに伺っていますが、実際のところ、この規定は使われていないようです。
どこに問題があるかというところでございますけれども、私が思うに、これを使おうとした場合に消費者側の立証責任が重い。この動機の錯誤に基づいてなぜ購入に至ったか、この動機があったとしても買うことはあったんじゃないかと。
ちょっとわかりづらくなってしまいましたけれども、要は、消費者の方でこの取り消し権を使うためにいろいろなことを証明しないと認めてもらえない、そういうようなことが背後にあって、取り消し権が使いにくくなっているんじゃないかと思うんです。
この点について、立証責任の転換など、法律の改正が必要ではないかと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
○甘利国務大臣
特に、高齢者などが不実の告知をもとに事実上だまされて契約を結ぶ、その際に、消費者側に立証責任、立証負担が生ずる、それを立証せよということについて、弱い立場の方々にとってはなかなかつらいことである。その軽減をいかに図っていくかというのは、御指摘のとおり、極めて大事なことであります。省略
それで、悪いやつを懲らしめることはとても大事なんですが、副作用で、健全な事業者に物すごく負担が生ずるということで、健全な業務運営が著しく阻害されるということがあってはならない。
悪いのだけピンポイントで、きれいにクリアカットに摘発できるのであれば一番いいんですけれども、極力それができるようにして、副作用が健全な事業者に及ぼされない、過度な負担が生じて、健全な事業活動に物すごくコストがかかってしまうということにならないようにバランスをとるということが大事だと思っております。
過量販売のような、具体的にすぐ確認できて、健全な事業者であればそんなことはしないということが確認できるところについて、こういう立証負担を軽減するという手だてを講じたわけであります。
改正法の施行状況を踏まえて、引き続きいろいろな視点から検討していきたいと思っております。
省略
○階委員
これは単なる悪徳商法という問題だけではなくて、私の息子の場合でいえば、本来目がよかったにもかかわらず目が悪いことにされて、眼鏡をかけさせられて、眼科さんが言うように、ひょっとしたら眼鏡をかけて目が本当に悪くなっていたかもしれない。
そういうように、人の健康について虚偽の説明を行って不安を与えて、眼鏡などの医療機器を売りつけるような行為というのは、本当にとんでもない話であって、厚労省としても規制すべきではないかと思うんですが、この点について、厚労省としてはどういうふうに考えますか。
○中尾政府参考人
先ほどお話しいたしましたとおり、人体に危害を及ぼすおそれのある検査でありますとか疾病等の診断であれば、原則として医行為であり、医師等の資格を持たない者が業として行うことは禁じられております。
厚生労働省といたしましては、無資格者による医療行為に対しては、関係機関と協力して、適切に対処してまいりたいと考えております。
○階委員
全く意味のない答弁だと思います。
私が問題としているのは、医療行為と密接に、医療行為といいますか、人の体に悪影響を与えるような販売行為をしているわけですよ。そういうことについて、厚労省としては問題意識を持つべきではないか、その販売行為もちゃんと取り締まるべきではないかと言っているんですが、どうなんでしょうか。
○中尾政府参考人
薬事法におきましては、医療機器のリスクに応じた規制を行っておりまして、リスクの高いものから、高度管理医療機器、(コンタクトレンズ)管理医療機器、一般医療機器となっておりますが、眼鏡用のレンズ、眼鏡というのは、最もリスクの低い一般医療機器に該当するものです。
眼鏡販売はバンドエイドと同じ感覚です。
故に100円ショップでも販売できるのです。
取り扱いにつきましては、今の眼鏡については、製造等の規制があるということでございまして、販売につきまして特段の規制があるわけではないということでございます。
○階委員
ぜひ、こういう事例もあるということをちゃんと認識していただいて、人の健康を守るのが厚労省の役割だと思うので、ちゃんと取り組んでいただきたいと思います。
よく見えるでしょうとかそういうことを言うのは別にいいんですけれども、それとは別に、やはり〇・四と判断しているわけですから、その〇・四の人に合う性質の眼鏡であるということをちゃんと示していただいた上で売ってもらわないと、売る場面になったら、よく見えるでしょうということで、最初の〇・四の判断とは切り離したような話にされてしまうと、後から責任を追及しようとしても、よく見えることには変わりないんだからという話になってしまって、これは本当におかしな話かなと思うわけです。
省略
○甘利国務大臣
一般店舗販売というと、いわゆる地域の商店街になるわけですね。商店街は、地域の信頼性なくしてやっていけないはずなんであります。一般店舗販売についてぎりぎり規制をしていくということになると、それでなくても地域の商店街が疲弊しているという中に、過度の負担を負わせることになりはしないか。取引の安定性について、もちろん、消費者保護をできるだけ図るということはいいことなんでありますけれども、それの副作用が過度に起きてしまわないかということ等々を勘案しながら、両者がバランスするようにしっかり取り組んでいきたいと思っております。
○階委員
私が提示した事案についての質疑はここまでで終わりますけれども、そもそも論として私が思いますに、悪徳業者と言われるものについても二種類あるような気がします。
一つは、法に触れなければ何をやってもいいという法の抜け穴を探すような業者と、
もう一つは、法を破ってもばれなければいいという業者であります。
これまでの国の対応というのは、今回の改正も含めてですが、どちらかというと前者の、法に触れなければ何をやってもいいという人たちへの対策として、法の抜け穴をなくしていくというのが主眼であったように思います。しかしながら、市場競争が激化する中で、モラルの低下が非常に進んでいるのではないかということを危惧しています。こういった中で後者の、法を破ってもばれなければいいというような業者もふえていると思うんです。
○甘利国務大臣
御指摘はよくわかりますが、そういうもろもろの、つまり、一人の被害者に対する行為が新たな被害者を生まないようにということ等をしっかりと勘案しながら検討していくべき課題だと思っております。
そして政府は 消費者庁なるものを作った。
さあ・・・悪質業者は消えるのだろうか?