眼鏡専門店のこだわり
最近の流行なのか、また出店スペースの問題もあって
一坪測定室と言うのが増えています。
機器販売のメーカーさんの話として『検査自体にはなんら問題は無い』
と言うことでもっぱらこれからの測定機器の主流であるかのように言われていますが、
私としては大いに疑問を呈したいのです。
自然視
私が測定の距離にこだわるのは、日常の生活を再現する形で測定をすることが如何に
大切かを知っているからです。 この1坪測定機はバーチャルな世界を再現して
テレビゲーム感覚で視力を測定しているのです。 これは、ミラーやレンズなどで
いわば人工的な5mの視距離を設定してあるのですが、そのすぐ周りに見える視力表装置
などが、1mしか離れていないためえてしてそこに目のピントがいきがちで、普通の
広々とした空間で5mの距離を取って自然な遠方視の状態で測定する場合に比べて
眼の「不要な調節」という作用が生じがちで、そのために近視の場合には実際よりも
強く測られてしまうおそれもあるのです。このような事から、測定の距離をとって遠くを
自然な見え方にして測定する方法より正確な測定結果を得られるとは考えにくいのです。
私の子供の視力は自然の中
私は眼鏡店勤務というサービス業のため土日は、ほとんど子供と遊んでやることは
出来ません。 極力接する時間を増やすため、朝食を一緒に取ったり仕事が休みの
平日に一緒に遊んだりしているのですが、そんな時の何気ない子供の動き見ていると、
着実にものが見えていて色々と理解しているのだということが実によく判ります。
成長の喜びは単に大きく育っていく事や、歩き出す事だけではなく色々なものが見える
事で子供なりに感動をしてくれているのだなと思えることです。
この子の視力の測定は何気ない日常生活のなかで、山の頂上に見える建物や遥か上空を
飛んでいる飛行機を発見していることで確認できる。という何気ないことからも、2児の
父親としての大きな喜びを感じています。テレビゲームでの目の動きでは楽しくありま
せん。実際に店での測定の距離を遥か遠くにする事は出来ませんが、出来る限りの
スペースを作ることで自然に近い見え方にする事が出来ます。錯覚を起こさせて人工的に
遠くに物があるような見え方を作り出す一坪測定機では自然に近い状態で(目の緊張を
起こすことなく)遠くの視力は測れないでしょう。
視るとは脳で見ることです
ほとんどの人は普段は意識しないのですが、眼の中に映った様々なものを実際には脳で
見ていて、それが何であるかを判断しています。
見たものを眼の中にある網膜に映しその情報が視神経に伝わり最終的には脳に伝わり
ます。近視、遠視、乱視などがある場合、しっかりとした検査をして眼鏡などで矯正して
おかないと網膜に鮮明な像が映らず正確な情報が脳に伝わりません。
特に成長期の子供の場合に正しい情報が脳に伝わらないと日々の生活や学業・スポーツ
などに非常に大きな影響が出てきます。
両眼視という世界
人間の目は左右に2つありこれも当たり前のことですが、普段我々は両眼を使って物を
見ています。両眼を使うことで物を見るということだけではなく、距離感や立体感など
様々なことを判断する事が出来るのです。
だから測定も両眼で測定をするのが私は普通なのです。
それが、両眼開放屈折測定法です。これは日常視の状態すなわち両眼が共同してものを
見ている状態や機能を測る方法です。この方法が眼鏡処方のための屈折測定法です。
両眼で測定をすることで日常視に近い状態で測定し、安定した度数を測る事が出来ます。
更に、自然に近い状態で測定を行うために測定距離を広く取って測定しておりますので
安定した測定結果が得られるのです。 こうした優れた技法が、コストダウンという目的で
おろそかにされていることに憤りを覚えるのです。また最近の若手眼鏡マンがこうした
技法を使えなくなっていることに危機感を持つものです。
測定室は広さを大切にしています
賞月堂では、ほとんどの店で5mか3m離れて測定を行っています。
先に述べた1mの距離で測定を行えるという節約型の測定機器もあります。
測定室をコンパクトにすると、その分が売り場を広く取ることが出来るので、最近の
眼鏡店では増えています。 重ねて申しますが、1mの距離だと余分な緊張が働いてしまう
場合があり、度数が不安定になる恐れがあります。
そのため、遠視の未矯正や近視の過矯正といった度数の正確さに欠ける事があります。
私を含めた賞月堂各店では、この様な事を起こさず、日常視力を再現できる自然な
見え方に近い空間を確保した広々として測定室を活用しています。
広い売り場を重視するか、広い測定室を重視するか、この配置の姿勢を見るだけでその
お店の『健康に役立つ確かな眼鏡つくり』に対するこだわりを見ることが出来ます。